高齢者の遺言の作成はできる限り迅速に
2015/07/30
高齢者の中には、子どもたちの関係が良くなかったり、また再婚前の子どもがいるなど、自身が亡くなったのち、何らかの法的トラブルないしは負担が発生することが予想される場合があります。
このような場合に、予め遺言書を作成し、その意思を明確にしておくことは大切です。
しかし、その作成の時期やスピードもきわめて重要です。
先日、公正証書遺言を作るため、依頼者の方(男性・80代)と一緒に公正証書役場に行きました。公証人の前で、遺言書作成について意思確認をされたところ、その方は、なんのためにここにきているのか分からないと言い始めたのです。
私が数か月前にお会いしたときには、遺言書を作る明確な意思をお持ちでしたが、この数か月間の認知症の進行により、意思表示がはっきりとできなくなってしまいました。この方は、入院により、作成が数か月延びてしまいました。
高齢の方、特に70代半ばを超えると、いつ認知症が急速に進行してもおかしくありませんので、できる限り早く(先ほどの例では、例えば病院に出張で来てもらうなどして)遺言書を作ることをおすすめします(先ほどの例では、自筆証書遺言の作成にもチャレンジしましたが、高齢で手が震えて、自分の名前以外ははっきりと書けないという方でした)。
なお事例は、個人の特定を避けるため適宜改変しております。
弁護士 三好登志行