遺言 相続人の廃除
2014/04/15
少し遺言の話しが続きましたので、その流れで「遺言による推定相続人の廃除」についてお話ししたいと思います。
廃除とは、推定相続人(将来相続人になる可能性がある人。例えば父親の相続人になる可能性のある息子)が、①被相続人に対する虐待・侮辱、②その他の著しい非行、を行ったときに、遺言または審判申立によって、相続人の資格を否定することです。
審判の申立があった場合には、裁判所はその推定相続人(例えば、父親に暴力を振るったとされる息子)の意見も聴いて、相続人としての資格を否定して良いか判断します。
遺言で廃除の意思表示があった場合には、被相続人が死去して、相続が発生したとき、遺言執行者が遅滞なく家庭裁判所に廃除の申立てを行い、裁判所に廃除の事由について判断してもらいます。廃除の審判が確定すると、推定相続人は、被相続人の死亡の時に遡って相続権を剥奪されます。戸籍にも記載されます。
最近私が作成に関与した廃除の遺言では、親の金を持ち出して飲食店で多額の浪費をする、兄弟の名前を語ってローンの負債を兄弟に負担させるなどの行為が積み重なっていました。公正証書のかたちで遺言書が作成できたのでひと安心です。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)