消費者安全調査委員会
2013/10/02
消費者安全委員会という国の機関をご存じでしょうか。消費者事故調ともよばれます。身近な暮らしの中でおきた事故の原因を調査し、事故の再発防止と消費生活の安全につなげていくという機関です。
消費者事故調が、発足してちょうど1年になります。私は、この消費者事故調が設立される前に、消費者庁が立ち上げた検討会の委員として議論に参加した経緯があるので、発足後の経緯について関心をもって見てきました。
この度、設立からちょうど1年ということで特集記事が各新聞に掲載されましたが、その記事を見る限り、期待ほどにはうまくいっていないような状態であす。
消費者事故調は、7人の委員、38名の専門委員と事務局の調査官からなります。委員と専門委員はいずれも非常勤です。これまで被害者側から103件の調査申出があったが、これまでに事故調が調査対象とした事故は6件。6件中3件は他省庁が過去に調査してものです。6件中2件については中間報告を公表していますが、最終報告までいったものはまだ1件もないといいます。
委員と専門委員の全員が非常勤で、事務局の調査官もこれまで事故調査の経験はほとんどないと思われます。そのようななかで、事故調査をすすめていくのは容易ではないことは理解できます。しかしせっかく消費者の安全のために鳴り物入りで設立した事故調査機関です。すこしでも早く目に見える成果を出してくれることを期待する次第です。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)