被害者参加と損害賠償命令の案件 佐藤健宗
神戸地方裁判所明石支部の管内で、ある事件(被害者のプライバシーのため、事件の名称や内容は伏せさせて頂きます)が起き、私の事務所で、被害者参加と損害賠償命令の手続きを行うことになりました。
当事務所のHPで、被害者参加の一般論はご紹介しておりますが、実際の事件でどのような手続きになるのかについて、被害者の方を含めて参考になると思いますので、被害者の方の差し障りにならない限りでご紹介します。
まず被害者参加の申出は検察官に対して行います。弁護士費用については、収入次第によっては国選被害者参加弁護士の制度を使うことできます。この制度が使えれば、被害者は弁護士費用の負担が免除され、費用的にかなり楽になります。
次に証拠などの記録の閲覧・謄写を行います。被害者参加制度が導入される以前は、裁判が始まった後に裁判所で証拠として採用された証拠しか閲覧できませんでしたが、参加制度が導入された後は、第1回の裁判期日が行われる以前であっても、検察官に申請をすれば記録の閲覧・謄写をすることができます。この制度により、第1回公判期日の前に、事前の全容を把握することができます。
記録の閲覧・謄写が終わったら法廷対策です。今回の案件では、被告人に対する質問と、もしも情状証人が出てきた場合の証人尋問を考えています。
裁判の結審の前には、被害者の心情に関する意見陳述も準備しています。ただしこの制度は、被害者参加制度が導入される以前からあるものです。被害者参加制度から始まったのは、被害者論告ですが、これは心情に関する意見陳述と似ており、事件の性質や被害者の気持ちに応じて使い分けます。今回は、今回の裁判で裁かれる犯罪によって、いかに被害者が傷つけられたかを気持ちを込めて訴えて頂く予定です。
同時に損害賠償命令の申し立ても準備してます。この審理が始まるのは、判決の言い渡しが終わった直後で、刑事裁判の言い渡しを行った裁判体がそのまま審理を担当します。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)