離婚前の処分禁止の仮処分 野口敦子
2013/06/28
Aさんは、専業主婦で年金生活でしたが、長年の夫の暴力、浪費に耐えかねて、離婚することにしました。Aさん夫婦の主要な夫婦共有財産は、夫の単独名義の自宅不動産(ローンは完成済み)のみでした。Aさんは、別居をし、離婚を求めて調停を起こすことにしましたが、夫が自宅不動産を売却すると言い出しました。Aさんは、夫が離婚までの間に不動産で得たお金を全て遣ってしまうことを心配されていました。
そこで、当事務所では、離婚調停の申立と同時に、Aさんが夫に対して有する離婚に伴う財産分与請求権を保全すべき権利として、自宅不動産について、売却などをしてはならないという処分禁止の仮処分命令を裁判所に申立てました。Aさんの陳述書により離婚事由があること、Aさんにも自宅不動産について2分の1の権利があること、夫が不動産を売却してそれを費消してしまう恐れがあることなどを説明したところ、極めて迅速に仮処分命令が発令され、離婚までの間に自宅不動産を売却されてしまうような事態を避けることができました。
弁護士 野口敦子(兵庫県弁護士会明石支部)