遺言の重要性 三好登志行
皆様、こんにちわ。 弁護士の三好です。 まだまだ暑い日が続きますね。
先日、ある方から、相続のことで相談を受けました。 事案は、次のような内容です(守秘義務、プライバシー等に配慮し、事案は変更しております)。
私には、父、母、妹の3人の家族がいます。
母と妹は、私が20歳くらいのときに家を出て行き、すでに15年くらいが経ちます。
私は、父の家業を継いで、父と一緒に会社を切り盛りしてきました。
ところが、つい1週間ほど前、父が脳卒中で倒れ、命に別状はありませんでしたが、医師からは仕事に復帰することは難しい、今度再発すれば、命が危ないと言われています。
意識が回復してからも、手足にしびれが残っており、発語や文字を書いたりするのも困難です。 今の会社の株式は、父が100%持っています。また父名義の資産として、約4000万円ほどあると聞いています。 今の状態のまま父が死んでしまった場合、会社や父の財産はどうなるのでしょうか。
まず母と妹にも相続権がありますので、母が2分の1、妹が4分の1の相続権があります。 ですので、仮に母と妹が株式を相続すると、会社は、母と妹のものになってしまうと言っても過言ではありません。
また、資産としての4000万円も、法定相続分に従い、母が2000万円、妹が1000万円になります。
お父さんに遺言書を自筆で書くことができるか、あるいは遺言の内容をはっきりと口で言うことが出来れば、遺言書を作成し、会社をあなたに残す方向で遺言書を作ることもできます。
このように、近時、病気になってから、あるいは認知症が進行してしまってから、財産を法定相続分以外の割合で渡したいと言う人が増えてきています。 しかし、遺言書を作る能力がなくなってしまってからではどうすることもできません。
相続人とされる者に財産がいってしまうと困ると言う方は、早め早めの対策をお進めします。なお遺言書は、一度作ってしまっても、いつでも作り替えが可能です(最も新しいものの効力が優先します)。そういった不安がある方は、一度、弁護士に相談されてはいかがでしょうか。
暑い日が続きますが、こまめに水分補給をし、熱中症にはご注意下さい。
弁護士 三好登志行 (兵庫県弁護士会明石支部)