被害者支援で、ご遺族と一緒に刑事裁判に 佐藤健宗
2013/06/20
今日の午前中は、犯罪被害者支援の案件で、刑事の裁判所に行ってきました。事件の内容は、早朝会社に出勤するために自転車に乗っていたご主人が、自動車に後ろからはねられて亡くなったというものです(自動車運転過失致死罪)。加害者が自動車の運転中に、ズボンのポケットからタバコを取り出そうとして脇見運転したのが原因で、被害者側の落ち度は全くありません。
被害者(や遺族)が刑事裁判に関与しようとする場合、被害者参加という方法があります。被害者参加すれば、①法廷に在廷できる、②被告人や情状証人に直接質問できる、③被害者論告と求刑ができる、などの権利が与えられます。被害者論告まではしなくてもという場合、被害者の心情に関する意見陳述というものができます。裁判官に気持ちや意見を伝えたいが、公開の法廷で、しかも加害者もいる場で話すことは難しいという場合、書面を作成して検察官に渡せば、裁判官が朗読してくれることもあります。このように犯罪被害者のためにはいろいろな手続きが用意されており、被害者(や遺族)が手続きに取り残されてしまうことはないのです。
今日私が同行したご遺族は、裁判をしっかり傍聴して、被告人がどのようなことを発言するのかということを見定めたい。特に意見陳述まではする必要なないとのことでしたが、裁判が結審したあと、一緒に帰るときに「事件を起こしてしまうと、亡くなった被害者や処罰される本人だけでなく、どちらの家族も大きな影響を受けてしまう。本当に事件は起こさないようにしないと・・」と語っておられたの印象的でした。
なお判決は3週間後に言い渡されます。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)