最近の成年後見制度の運用について 佐藤健宗
昨日、弁護士会で成年後見制度に関する研修会に出席してきました。近年、成年後見人が管理中の財産を横領するなどの不祥事が相次ぎ、弁護士会としても放置できない流れの中での研修会です。その中で、最新の制度の動向や運用実務の紹介もありましたので、この場でご紹介します。
○成年後見開始の申立は毎年約10%ずつ増加していること。
○専門職後見人(弁護士・司法書士・社会福祉士など)も増えており、神戸家裁本庁では平成24年で約59%になっていること。
○申立の際には裁判所が作成している「成年後見申立てセット」を使用しなければならないが、平成25年2月25日に新書式に変更されていること。
○申立書類がある程度そろった段階で家裁に電話して、面談日を予約しておくこと。そして面談日の遅くとも1週間前には申立書類一式を裁判所に提出すること。
○面談日の事情聴取は、後見の場合は申立人と後見人候補者、保佐・補助の場合は申立人・本人と候補者に対して行われる。裁判所側は、申立人に対する事情聴取は参与員、本人・候補者に対する事情聴取は家裁調査官が行うこと。
○鑑定(本人の判断能力について専門の医師が行う鑑定)は、平成24年の後見申立で約6~10%で実施されている。
○申立後の審理期間は、鑑定省略事例で約50日、鑑定実施事例で約100日。
○専門職が後見人に選任されるのは、
・本人の財産が多額(一つの目安として2000万円以上)の資産がある場合
・候補者である親族の事務能力に疑義がある場合
・親族間で対立その他法的紛争・課題(遺産分割・保険金受領・立替金の精算)がある場合
○親族間対立や申立人と本人との間に立替金精算等の問題がある場合、申立人だけでなく、申立人代理人も後見人になれない可能性が高いこと。
○後見等の申立の取り下げが裁判所の許可制になったこと。
だいたい以上です。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)