雑踏警備と落雷事故 佐藤健宗
2013/06/13
私も弁護団の一員として関わった明石歩道橋事故では、雑踏警備のあり方が問題となりました。雑踏警備とは、不特定多数の群衆が集まる場合に、不測の事故が起きないように、主催者や警察が警備を行うことをいいます。イメージがつかみにくくれば、神戸のルミナリエを思い出して下さい。数十万人の観客が集まるあのイベントで、過密状態や転倒から起きる将棋倒しなどの事故が起きないように、主催者と警察が分担しながら、雑踏の警備を行っています。
ところで近年発生した落雷事故で、法的責任の追求が可能か検討しています。最初は落雷事故は天災という性格が強く、しかも積乱雲のどこで雷が発生するのか予測が難しいので法的責任の追及は難しいかもしれないと感じました。しかし高槻市で起きた落雷事故についての最高裁判決や、その判決を受けてのものと思われるサッカー協会やゴルフ協会の取り組みなどを研究したところ、野外イベントにおける落雷事故はある程度の予測が可能であり、対策もとることができることがだんだん分かってきました。
落雷事故に対する警備のあり方について問題提起ができるように、もう少し検討を深めたいと思います。
弁護士 佐藤健宗(兵庫県弁護士会明石支部)